ルーフィングとは?
みなさんルーフィングって知っていますか?
ルーフィングとは、屋根の見えないところに貼ってある防水シートのことをいいます。
ルーフィングシート、下葺き材ともいわれます。
このルーフィングがとても重要で、
屋根仕上げ材(外から見えている屋根の材料のこと)で受け流せず、裏側に入り込んでしまった雨水などを、
野地板と呼ばれる屋根の下地材や建物内部に染み込ませないようにするために貼ってあります。
ルーフィングがあることで、雨漏りが起きないと言ってもいいくらい建物にとって重要なものです。
ルーフィング自体にも寿命があり、経年劣化で柔軟性がなくなっていくことにより、
穴が空く、破れなどの劣化が見られます。
これから家を建てる方、屋根のリフォームを考えている方で、
「ルーフィングってよくわからないからなんでもいい」と思う方が多いと思いますが、
選び方次第で、メンテナンス費用を抑えることができたり、雨漏りを起こしづらくすることができます。
施工店にすべて任せても全く問題はありませんが、
屋根は建物の中でも一番重要な部分であり、メンテナンスにも費用が掛かる部分でありますので、
雨漏りをしてから、ルーフィングについてもっと知っておけばよかったと後悔しないようにできたらいいですよね。
これからルーフィングの種類や耐用年数を解説していきますので、参考にしてみてください。
株式会社HIKARUは群馬県伊勢崎市にあるコーキング・防水工事を得意とした、外装リフォーム会社です。
屋根の塗装や雨漏り補修など、様々なご相談に対応致します。お気軽にお問い合わせください。
ルーフィングの種類
主なルーフィングの種類
ルーフィングの材質によって種類分けされています。
ルーフィングの種類 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|
アスファルトルーフィング |
10年~20年 |
透湿性はないが止水性が高い。耐用年数は10年と短く、価格も一番安価。多くの新築住宅に使われている。 |
改質アスファルトルーフィング | 20年~30年 | アスファルトにゴムや合成樹脂を混ぜて耐久性を高めたもの。アスファルトルーフィングよりも破れにくく耐用年数も20年以上になり、価格が高くはなるが耐久性は優れる。多くの住宅に使われている。 |
高分子系ルーフィング | 20年 | アスファルトを原料にしていないルーフィング。陸屋根などに使われることが多く切妻屋根などには使えない。 |
透湿ルーフィング | 50年 | 透湿性に優れており、結露による腐食を防ぐことができる。軽量で耐用年数が50年と長い。アスファルトルーフィングと比べると価格が2倍以上高くなる。 |
遮熱ルーフィング | 50年 | 透湿性能に加え遮熱性能も兼ね備えたルーフィング。太陽の熱を屋根から室内へ伝わりにくくし、室温を2~3度下げる効果が見込まれています。アスファルトルーフィングと比べると8倍以上の価格になるのがデメリット。 |
その他のルーフィングの種類・特徴
不織布ルーフィング
一般的なアスファルトルーフィングは原紙にアスファルトを染み込ませたルーフィングとなっています。
この原紙に代わり不織布を使用したルーフィングですと、破れにくくなるため耐久性が高くなります。
粘着層付きルーフィング
ルーフィングの施工方法として、一般的にビスやタッカーを使い設置します。
このビスやタッカーなどの留め具廻りから雨漏りが起きやすく、
それを改善するために作られたのが粘着層付きルーフィングです。
留め具で穴をあけることなく貼るだけで設置可能ですので、カバー工法にも使われます。
粘着力が高いため、張り替えの際剥がれにくいものや、その逆で綺麗に剥がせるように作られたものもあります。
上記の表で記載したルーフィングの種類でも原紙のものや不織布のもの、
留め具設置のものや粘着式のものなど様々なバリエーションが各メーカーから販売されています。
標準仕様はアスファルトルーフィング
価格が安く、性能も標準的で施工もしやすいことから、アスファルトルーフィングが使われることがほとんどのようです。
住宅メーカーや工務店によって異なりますが、
特に記載や説明がない場合はアスファルトルーフィングが採用されていると考えていいでしょう。
耐用年数が10年ほどですので、一生涯住むことを考えるとメンテナンスにかかる費用で、
全体的な費用が高くなる可能性があります。
代表的なアスファルトルーフィング
屋根仕上げ材とルーフィングは一緒に考えて選ぶといいでしょう。
予算にあったルーフィングの選び方
アスファルトルーフィングは比較的低価格の値段となっています。
価格が高くなるほど高性能、高耐久になります。
アスファルトルーフィングも防水性・止水性は優れていますが耐用年数が短く耐久性が劣ります。
予算に合わせてできるだけ高耐久のものを選びましょう。
耐用年数が短いルーフィングを選ぶメリット
・初期費用が抑えられる。
・予定より早く交換することになっても初期費用が高額ではないため、交換しやすい。
・新築時に屋根材も耐用年数が短いものを選び、交換時期が来た時までに予算を作ることで瓦やガルバリウムなどの高耐久のものに屋根を張り替えができる。
例:瓦屋根の場合 10年~20年目に瓦屋根に張り替えることで、
その後のメンテナンス費用を10年ごとの定期点検のみに抑えることができる。瓦の張り替え時期が来たらルーフィングも一緒に交換するこができる。
(瓦屋根に葺き替える場合は、瓦は重いため、家を建てる際に柱や梁などを瓦をのせても大丈夫なような造にしないとなりません=屋根材ではなく基礎構造部にお金をかける)
耐用年数が短いルーフィングを選ぶデメリット
・建物の周辺環境、気候や災害などにより、耐用年数より早く劣化が見られる場合がある。
・10年程で雨漏りが起きてしまう可能性がある。
・屋根仕上げ材とのメンテナンス周期が合わず、メンテナンス費用が多くかかってしまう場合がある。
―塗装をしたばかりなのに雨漏りが起こってしまい、原因はルーフィングの劣化とみられ、葺き替え工事などをしなければならなくなってしまったなど。
ルーフィングは外から見ることができないため、
小屋裏などから野地板や柱などに雨水が侵入した形跡がないか点検が必要です。
屋根塗装の目安が10年といわれていますが、
耐用年数が10年のルーフィングを使用している場合、塗装をするタイミングで劣化が起こっているかもしれません。
屋根材はまだ20年持つはずであるのに、
耐用年数が短いルーフィングを選んでしまったがために塗装費用や屋根材を無駄にしてしまうことがあります。
ですが、一つ目のデメリットで挙げた通り、周辺環境、気候や災害などで劣化の速度が異なってきますので、
劣化が起きていない場合も十分にあります。
耐用年数に近づくにつれ、ルーフィングも劣化しやすくなり、過ぎてからはいつ劣化が起きてもおかしくありません。
改質アスファルトルーフィング
もっと耐用年数が長い方が安心できるという方は、
改質アスファルトルーフィングにすることがおすすめです。
アスファルトルーフィングに数万円程度多く予算を充てることで10年から、20年~30年と倍、もしくは倍以上に耐用年数を伸ばすことができます。
別名ゴムアス、ゴムアスファルトなどと言われており、
アスファルトルーフィングに合成ゴムや合成樹脂などの成分を加えることで止水性と耐久性を改良したものとなっています。
日本で一般的に使われているルーフィングはアスファルトルーフィングか改質アスファルトルーフィングがほとんどを占めています。
改質アスファルトルーフィングはアスファルトルーフィングに比べると価格は少し高くなりますが
耐用年数は倍以上あり、止水性もぐーんとアップしています。
主な改質アスファルトルーフィング商品の例
屋根材の耐用年数は短いものでトタン屋根の10~20年、化粧スレート20年~25年、アスファルトシングル20年~30年などがあり、
これらの防水材として改質アスファルトルーフィングは向いていると言えます。
耐用年数が長い屋根材の場合、ルーフィングの耐用年数も長いものを選ぶと良いです。
天然スレート、瓦、セメント・コンクリート瓦、ガルバリウム鋼板、ジンカリウム鋼板などは30年以上耐用年数がありますので、ルーフィングも合わせて選びましょう。
改質アスファルトルーフィングと一括りに言ってもたくさんの高性能のものがありますので、耐用年数がもっと長いものもあります。
高耐久で透湿性のある透湿ルーフィング、遮熱ルーフィング
日本でまだあまり浸透していないですが、これからもっと採用されることが予想されるルーフィングが透湿ルーフィング、遮熱ルーフィングです。
透湿ルーフィング、遮熱ルーフィングは50年の耐用年数をうたっており、ルーフィングの役割である防水性と止水性だけでなく、
透湿性や遮熱性を兼ね備えた高性能のルーフィングになります。
透湿ルーフィング
アスファルトルーフィングは防水性・止水性がありますが、湿気を外に逃がすことはできません。
そのため小屋裏の通気が悪いと、野地板や柱などが結露によって腐敗してしまうことがあります。
透湿ルーフィングを張ることで野地板などの結露を防ぐことができます。
透湿ルーフィングは防水性が低いと言われているようですが、実際は防水性にも優れています。
メリットはたくさんあるのにそこまで普及していない理由はアスファルトルーフィングよりも2倍以上する価格の高さと、
通気口を付けるために作業が少し専門的であることが考えられます。
他のルーフィングの方が施工が簡単なため工務店や職人さんがこの透湿ルーフィングを取り入れていないということも考えられます。
住宅の太陽光パネルの設置でも透湿ルーフィングを使用することで、野地板の多湿化を軽減できるとされています。
主な透湿ルーフィング商品の例
遮熱ルーフィング
遮熱ルーフィングは透湿性能に加え、太陽からの熱を野地板から内部に伝えることを防ぐ遮熱効果のあるルーフィングです。
夏にとても暑くなる地域におすすめのルーフィングです。
室内の温度を2~3℃下げる効果があります。
主な遮熱ルーフィングの商品例
60年の耐用年数を誇る改質アスファルトルーフィング
さらに高耐久のものいうと、
TAJIMAのマスタールーフィングというルーフィングがあります。
60年の耐用年数といわれており、経年劣化が起こりにくい素材でできたルーフィングとなっております。
高耐久のルーフィングを選ぶメリット
○屋根仕上げ材に合わせたメンテナンスを行い、ルーフィングは定期点検のみで雨漏りの心配はほとんどいらない。
○メンテナンス費用の削減になり、安いルーフィングを使った屋根を葺き替えする費用よりも結果的に安くなる。
屋根仕上げ材も高耐久のものを選ぶことで、メンテナンス費用を抑えることができます。
高耐久のルーフィングを選ぶデメリット
○初期費用が高くなってしまう。
屋根仕上げ材も高耐久のものを選び合わせなければならないため高額な費用が掛かってしまう。
○地震や台風などの自然災害の影響を受けてしまい、本来の耐用年数を発揮できずに交換せざるおえない場合がある。
自然災害は何が起こるかわからないため、屋根材が破損してしまう場合があります。ほとんどの場合ルーフィングは無事であるため雨漏りを起こさないで済みます。
ですが、ルーフィングにまで及ぶような破損があるかもしれません。例年大きな台風が通過する、地震の被害が多くある地域など、周辺の気候や環境を考えて屋根材やルーフィングを選びましょう。
頻繁に変えることを想定して、価格を下げてルーフィングを選ぶことも一つの選択肢です。
メンテナンス・点検のことを考えよう
メンテナンスは意外に費用がかかるものです。
ルーフィングのメンテナンスについて
小屋裏で雨漏りを起こしている様子
ルーフィングに劣化があると雨漏りを起こします
10年点検を行う
・屋根材に劣化はないか
・小屋裏から見て野地板に雨水の侵入した形跡や結露跡がないか
ルーフィングの状態は屋根仕上げ材を剥がさなければ確認することができません。
屋根材は瓦以外は、一度剥がしたものは再利用できませんので剥がしてルーフィングを確認することはありません。
新築時の施工不良がない、耐用年数から大幅に経過している場合以外は、劣化はほとんど見られないでしょう。
ですので、ルーフィングの耐用年数を把握しておき屋根の葺き替えのタイミングで一緒に交換するといいでしょう。
屋根のメンテナンス
屋根仕上げ材の種類 | 塗装の時期 | 葺き替え・カバー工法の時期 |
---|---|---|
化粧スレート・コロニアル | 築7年~10年 | 築20年~30年 |
アスファルトシングル | 築10年~20年 | 築20年~30年 |
ガルバリウム | 築15年~20年 | 築30年~50年 |
セメント・コンクリート瓦 | 築10年~15年 | 築30年~40年 |
日本瓦 |
瓦の場合塗装の必要はない ルーフィングの交換:築20年~30年 |
築50年~100年で葺き替え |
屋根のメンテナンス・リフォームには
○屋根仕上げ材を保護する塗装と
○屋根仕上げ材自体が寿命を迎えた場合に行う葺き替え工事、カバー工事
があります。
ルーフィングの耐用年数が10年のものを選ぶと
屋根仕上げ材が点検や塗装だけで済むものが、ルーフィングの劣化が原因で葺き替えにしなければならないことがあります。
逆に50年持つ高耐久のルーフィングを選んで、屋根材は20年の耐用年数のものを選んだ場合は、
ルーフィングはまだまだ使えるはずなのに、屋根仕上げ材と一緒の時期に葺き替えをしなければならなくなり、もったいないことになってしまいます。
新築時に屋根の全体的なメンテナンスを考えておくと良いでしょう。
そして、屋根材の葺き替え目安と合わせてルーフィングの耐用年数を選ぶと、費用も無駄になる事はなく、屋根の寿命も守ることができます。
まとめ
今回はルーフィングについて解説しました。
ルーフィングは見えない場所に設置してあるため、どんな役割があって種類があるのかわからないと思います。
ルーフィングについて少しでも知っていれば、施工店の提案をそのまま採用するだけでなく
長く住み続けることができる家のためには、予算やメンテナンスを考えてルーフィングや屋根材を選ぶことが重要となってきます。
これから家を建てる方やリフォームを考え中の方の参考になれば幸いです。
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