遮熱塗装で得られる効果とは?デメリットはあるの?
遮熱塗装といえば、とても優秀な塗料です。
「遮熱塗装をすると室内の温度を下げるので電気代が削減できる」
「遮熱塗装は耐久性が高く塗膜の寿命が長い」
といった内容を記載しているホームページや広告を見たり聞いたりしませんか?
今回の記事では、どういった仕組みで遮熱効果が得られるのか分かりやすく解説していきたいと思います。
遮熱塗装を行うかお悩み中の方の参考になればうれしいです。
この記事を書いた人
HIKARUのブログ担当 グーちゃんです。
防水工事やリフォームについて勉強しながら記事を書いています。
目次
ーまとめ
遮熱塗装とは
遮熱塗料とは
遮熱塗料とは太陽光エネルギーを反射し、吸収を妨げることで熱の発生を抑えることができる塗料です。
高日射反射率塗料ともいいます。
屋根・外壁・屋上・ベランダ・バルコニー、窓ガラス、車など、様々な用途に専用の材料を使用することで、遮熱効果を得ることができます。
遮熱塗料の仕組み
太陽光には紫外線・可視光線・近赤外線の3つの領域があります。
3つの領域が太陽光エネルギーを占める割合は、紫外線が3%、可視光線が47%、近赤外線が50%ととなります。
特に近赤外線領域の太陽光エネルギーは、物質に吸収されると振動エネルギーに変換され、最終的には熱エネルギーとなります。
洗濯物が乾いたり、日向ぼっこで体が暖かくなるのは赤外線の有効利用です。
つまり身の回りのものが太陽の光に当たって暖かくなる理由は、「近赤外線を吸収しているから」といってもよいのです。
外壁や屋根の温度が熱くなる原因である、近赤外線を反射することができる塗料のことを遮熱塗料と呼びます。
遮熱塗料には遮熱顔料といわれる、通常の顔料に比べて赤外領域での反射が高いもので、物体温の上昇を抑える効果のできる特殊な顔料が含まれています。
顔料とは水や溶剤に溶けない着色料のことをいいます。遮熱顔料が含まれていることで、同じ色の一般塗料よりも遮熱効果を得ることができます。
白や淡彩色には遮熱効果が劣るが、人気のある「黒」
白と黒という色の違い
白に近い色であるほど、可視光線領域の反射率は高くなります。
黒に近い色であるほど、可視光線領域の反射率は低くなります。
これは、色が光に当たって見える原理に基づいたものですので、変えられません。白は光をほとんど反射するので白く見えます。つまり白は熱くなりにくい色なのです。
ですので、白に近い色を屋根や外壁に塗れば、太陽光エネルギーのうち可視光領域の47%近くのエネルギーを反射できると言えます。
反対に黒は可視光領域の47%のエネルギーをほとんど吸収してしまいます。その分は熱となり、屋根や外壁に表面温度を上昇させますので、より多くの熱が室内へと侵入していることになります。
ですが、塗装において黒や濃彩色はとても人気の色ですので、各塗料メーカーは濃彩色でも近赤外線領域のエネルギーを反射する顔料を開発しています。
そのため、従来の遮熱塗料では困難だった黒や濃彩色に遮熱機能をもたせることができるようになりました。
カラーバリエーションが増えた結果、塗り替えの際に採用しやすくなり、遮熱塗料を選ぶ人が増えたと言えます。
遮熱塗料であっても、白系と黒系の日射反射率の違いは、白色が約90%であるのに比べて、濃淡色は50%~60%の反射率です。
30~40%の差ですが、より効果的な塗料の選び方として白に近い色を選ぶことをおすすめしています。
色 | 全日射反射率 | 近赤外日射反射率 |
---|---|---|
●クールブラック | 28.4% | 61.0% |
●クールグリーン | 32.7% | 68.0% |
●クールシルバーアッシュ | 61.0% | 84.3% |
●クールホワイト | 91.0% | 87.8% |
※全日射反射率とは・・・太陽光の波長のうち、紫外線、可視光線、近赤外線すべての波長域の反射率のことをいいます。
※近赤外線日射反射率とは・・・太陽光の波長のうち、近赤外線波長域の反射率のことをいいます。
色重視で考えている方は、遮熱機能のない一般塗料で黒や濃彩色で塗装をするよりも、遮熱塗料の中から黒や濃彩色を選んだ方がいいと言えます。
色と光の関係について
目に見える色には光についた色(光源色)と物についた色(物体色)があります。
光についた色(光源色)について
パソコンやテレビなどは光についた色になります。今画面に映って見えている色は、色のついた光が直接目に入射して見えているものです。
物についた色(物体色)について
例えば、りんごはそれ自体が光を発しているわけではありません。
電気や太陽光に当たることで赤色の波長が反射し赤く見えています。
逆に言えば、赤色以外の波長はりんごに吸収されてしまいます。
可視領域の赤く見える光(長波長光)、青く見える光(短波長光)、緑に見える光(中波長光)がどんな割合で吸収されるか、反射されるかによって見える色が異なります。
りんごでいえば赤く見える光(長波長光)が多く反射し、青く見える光(短波長光)や緑に見える(中波長光)はほとんど吸収されているという事になります。
可視領域の光が全部同じように反射されたときに、物は白く見えます。
吸収された光はどうなるの?
物体は光を吸収すると熱になります。吸収された太陽光エネルギーが物体の温度上昇の原因となっているのです。
これらの光と色の性質が遮熱塗料にも大きく関わっています。
その他の建物が暑くなる原因について知りたい方はこちらの記事でも詳しく解説しています。
遮熱塗料に省エネ効果って本当にあるの?
遮熱塗料には太陽光エネルギーを反射し熱の発生を抑える効果があるという事がわかりました。
各メーカーの製品情報を見ると、一般的な塗料よりも室温が下がるといわれています。
実際に遮熱塗料を使って、室内の温度が下がったと効果を実感している声も聞こえています。
遮熱塗料の効果
遮熱塗装は、主に夏の室温上昇と空調負荷を抑えます。
空調負荷には冷房負荷と暖房負荷があります。
冷房負荷とは
快適な温度や湿度を維持するために取り除く、熱量のことです。
冷房時は室内に侵入した熱を取り除き、室内で発生する熱も取り除く必要があります。
躯体(外壁や屋根、床、開口部等)を通じて侵入してくる貫流熱(かんりゅうねつ)のほか、窓ガラスからの日射侵入、室内で発生する熱(家電や照明、人体等)が影響してきます。
室内に侵入してくる熱が多い分、室内の温度は高くなり、冷房の設定温度と室温に差が出てしまうため冷房負荷も大きくなります。
この冷房負荷を抑えることで、電気代が削減できます。
エアコンはつけっぱなしの方が電気代がかからないとよく聞きますよね。
それは起動時に一番電力を使うためです。エアコンは急いで快適な温度にしようと強運転になります。
つけっぱなしにすることで、室温と設定温度はほぼ一定になるため少しの電力で使用することができるのです。
遮熱塗装をした方がいい建物は?
トタン、ガルバリウム鋼板、アルミなどの金属屋根、金属系サイディングは、熱伝導率が高く、表面温度が熱くなりやすいため遮熱塗装をすると高い効果が期待できます。
工場や倉庫などは金属系の建材が使われていることが多く、夏は熱がこもって暑いというお悩みをよく聞きます。
また住宅でも日当たりのいい家や、2階、3階の暑さが気になる方にもおすすめです。
居住スペースが屋根に近くなると伝わる熱量も多くなります。少しでも和らげるためには遮熱塗装を採用してみると良いでしょう。
遮熱塗装は電気代の削減になる!
遮熱塗装をすることで外壁や屋根の表面温度が上昇しにくくなり、室内に侵入する熱量も少なくなります。
侵入する熱量が少ないと、室温が上がりにくくなります。
冷房の場合、設定温度を1度上げると、約10%の電気代が削減できるといわれています。
遮熱塗装の効果で室内での体感温度にも違いが出るため、設定温度をいつもより高く設定したとしても快適に過ごせるでしょう。
夏の電気代の30%がエアコンに使用しているため、少しでも電気代を削減出来たら嬉しいですよね。
遮熱塗料のデメリット
価格が高め
一般塗料と比べると2倍ほど価格に差が出る場合があります。
一般塗料のウレタン系塗料は1500円/㎡程度ですが、遮熱塗料は2500円~4000円/㎡ほどかかります。
塗料のグレードによって価格に差が出ます。
費用を削減したいのであれば、白色や淡彩色を採用することで一般塗料でも遮熱塗料と近い効果を得ることができます。
塗膜が汚れると遮熱効果が発揮しにくい
遮熱塗料の遮熱効果は、塗膜の表面が汚れていると反射しにくくなり、遮熱効果が低くなってしまいます。
親水性(セルフクリーニング効果)が高い塗料を選ぶことで、塗膜をきれいに保てます。
雨が降ることで、汚れと塗装面の間に雨水が入り込み、塗装面に付着した汚れを浮かび上がらせ、雨水が汚れを洗い流します。
トップコートを親水性のものにし、汚れ防止する方法もあります。
低汚染性、防汚効果と説明されている塗料も汚れにくい塗料です。
冬場の遮熱効果は建物の温度を低くしてしまうことがある
夏に効果が期待できる遮熱塗装ですが、日当たりの良い立地の建物や、猛暑日などが多くみられる地域では効果が期待できるでしょう。
しかし、建物の日当たりが悪い、冬が長い地域などはそれほど遮熱効果を重視しなくてもよいと考えられます。
冬に遮熱してしまうことで、室内に取り入れたい熱量が少なくなってしまう場合があります。
ですが、絶対に冬に室温が下がってしまうとは言えません。冬の日射角度は小さく、横から外壁に差し込むように太陽の光は建物に当たります。
横からという事は窓から入る太陽の光が多くなり室内は暖まりやすく、日中はカーテンを開けて日差しをたくさん取り込むといった工夫ができます。
このような冬が長い環境の建物は、遮熱塗装は屋根だけにする(夏は日射角度が大きく屋根に太陽の光が多く当たるため)、断熱塗料※を塗るという方法もあります。
塗料というものは、ミリメートル程の厚みのため、室内に伝わる熱を完全に遮断するわけではありません。
暑い・寒いと感じるのは、建物の構造や断熱材の有無などの影響もありますので、遮熱・断熱効果にも差が出ることに注意が必要です。
色によって効果の発揮の仕方が違う
もともと屋根や外壁に塗っている色が白や淡彩色の遮熱機能のない一般塗料である場合、色そのものの反射率が高いため、塗り替えをしても少しの遮熱効果の違いしか実感することができません。
前述した通り、白は一般塗料であっても遮熱効果があります。
もとが濃彩色の一般塗装の上に、遮熱塗装をすると高い遮熱効果を実感することができます。
※断熱塗装とは
断熱塗装とは遮熱塗装とは違い、太陽光を反射する塗料を使用している遮熱塗装に対して断熱塗装は熱伝導率を下げる塗料を使用しています。
熱伝導率とは熱が高温から低温へと動く熱移動を数値化したもののことをいます。
断熱塗料は中空ビーズ系、シラスバルーン系、真球ファインセラミックなど、含まれている素材の特性を利用して断熱をしています。
断熱塗装をすると屋外の熱が内部に伝わるのを抑えさらに室内の冷気を保つ効果があります。
冬場であれば外の冷気が内部に伝わるのを抑え、室内の暖かさを保つ効果があります。
遮熱効果と断熱効果が備わった塗料もあり、省エネ効果を感じることができますが、セラミックを利用したものがほとんどで材料自体が重く、その分価格も高いのが特徴です。
外壁や屋根の塗装についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
遮熱塗装の費用と耐用年数
遮熱塗装の費用
約2500円/㎡~5000円/㎡
塗料の種類や施工面積によって変動します。足場代など別途費用がかかる場合があります。
耐用年数
遮熱塗装10年~20年
塗料の種類や立地条件などにより差があります。
施工店により取り扱いしている塗料としていない塗料があり、塗料のグレードにより価格や耐久性に違いがでてきます。
まずは、お住まいの地域の近くにある施工店などにまずは相談してみましょう。
株式会社HIKARUでは、お客様の予算に合った遮熱塗装プランをご提案することができます。
お気軽にご相談ください。
まとめ
遮熱塗装をすることで省エネ効果があることがわかりました。
遮熱塗装をする時のポイント
・遮熱塗装には近赤外線を50~90%反射する技術が使われている。
・白に近い淡彩色ほど、遮熱効果がある。
・黒や濃彩色を塗り替えに使用したい場合は、遮熱塗料を選んだ方が良い。
・冬が長い地域や、日当たりが良くない建物は断熱塗料を検討すると良い。
夏の暑さが気になる方は遮熱塗装をすることで電気代を抑えることができます。
今回の記事を参考に検討してみてはいかがでしょうか。
株式会社HIKARUは屋根や外壁の遮熱塗装への塗り替えのご相談もお待ちしています。
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